歌舞伎の舞台名所を歩く |
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『楼門五三桐』 | |
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並木五甁作『楼門五三桐』(さんもん ごさんのきり)「南禅寺山門の場」、幕が開くと、先ず浅黄幕の前に大薩摩の登場です。 |
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それ緑林白波の、堅き言の葉和らげて、昼を夜なる歓楽は、盧生(ろせい)が夢のそれならで、瑞竜山(ずいりょうざん)の楼門に暫し栄花の夢見草、花の白波青柳の、翠(みどり)の林色まして、春の詠めや勝るらん。 |
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浅黄幕が切って落とされると、正面、山門の楼上に大百日という鬘、豪華などてらを着た五右衛門がいて、名台詞を吐きます。 |
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五右衛門 絶景かな絶景かな。春の詠めは値千金とは小さなたとえ、この五右衛門が目からは万両。もはや日も西に傾き、誠に春の夕暮の桜は、取りわけ一入(ひとしお)一入。ハテ、麗らかな眺めじゃなア。 (『名作歌舞伎全集』第8巻、10頁) |
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南禅寺へ行ってみます。 地下鉄東西線「蹴上」駅を出て、三条通を都ホテルの方へ少し行くと、煉瓦造りトンネルのようなところを通って進むと、南禅寺の塔頭・金地院、更に行くと南禅寺の門があります。 左に行き、参道に入ると句碑が目に入ります。良い句です。 そして正面に三門! 拝観料は500円(2017年) 秋の三門を下からと、上から眺めます。 これが桜の満開の時だったら! と舞台を思い出しながら、想像を膨らませます。 ゆっくりぐるっと回って、急な階段を下ります。 |
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『楼門五三桐』の初演は安永7(1778)年4月、大阪・中の芝居。 わずか15分位の一幕ですが、歌舞伎のエッセンスが詰まっている名場面です。 金門五三桐「南禅寺山門の場」(『歌舞伎定式舞台図集』 (講談社, 1958)65頁) 昭和51(1976)4年月、国立劇場では5幕9場の通し狂言として上演されました(第78回歌舞伎公演)。 国立劇場公演ポスター (『歌舞伎ポスター集-国立劇場開場25周年記念-』(日本芸術文化振興会, 1991年刊)より) 忘れられない舞台が二つあります。 昭和59(1984)年の正月でしたでしょうか、歌舞伎座で、幕があいて浅黄幕の前に長唄の名人・芳村五郎治が登場すると、「五郎治!」と掛け声がかかりました。 昭和64(1989)年2月歌舞伎座で、2代目尾上松緑の舞台(久吉は梅幸)、芸の年輪とはこういうものかと思わせる芳醇な五右衛門を見ることができた至福の一幕でした。 最近では2018年11月、歌舞伎座の顔見世で吉右衛門が演じています。久吉は尾上菊五郎。当代最高の配役でした。 歌舞伎座 看板(カラー写真)より |
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(2018(平成30)年11月) | |