歌舞伎の舞台名所を歩く

  日本橋
『東海道中膝栗毛』ほか


 (1)

日本橋の架橋は慶長8(1603)年、現在の橋は明治44(1911)年架橋の第20代目とのこと。

浮世絵にも多く描かれていますが、大好きな川瀬巴水の版画です。


(図録『川瀬巴水』(山梨県立美術館、1990)120)

では日本橋へ行ってみます。



東京メトロ銀座線に「日本橋」駅がありますが、一番近いのは半蔵門線「三越前」駅、この駅で下車し、日本橋側の出口B6より出ます。

◆日本橋魚河岸跡



こちらは北詰東側で「乙姫の広場」があり、日本橋河岸跡の石碑などが建っています。





 海に関係する女神でしょうか?


ちなみに、御存じ広重の「東海道五十三次」の最初の一枚は「日本橋」で、左下に魚屋さんが描かれていて、ここに河岸があったことを表しています。


仙鶴堂・保永堂版「日本橋 朝之景」天保4・5年頃
(「広重」展(東武百貨店池袋店, 1991)図録、26頁より)


行書東海道「日本橋 曙旅立の図」広重
(「名作にみる浮世絵師の系譜」展(銀座松屋, 1972)図録より)


階段を上ると、石碑を越して日本橋が見え、向こうの通りは銀座へつながります。




階段を下りて通りに出ます。

◆日本橋



左右の欄干には「阿吽」の獅子が睨みをきかせ、こちら側は「阿」。





日本橋の上に高速道路! 1960の東京オリンピックで東京は一変しました。高速道路を地下に通して、日本橋の上には空だけにしようと計画されています。



高速道路の間には、吉兆を示す伝説上の霊獣である麒麟。



橋を渡ると、左の階段を下りたところが「滝の広場」で、船着場があります(「双十郎河岸」をご覧ください)。



銀座を背にして、こちら(南詰東側)にも左右に「阿吽」の獅子。




なかなか迫力があります! 手にしているのは東京都の紋章で、四方で東京を守っています。



左側(南詰西側)にも見るべきものがあります。




◆「日本橋由来記」



左は2020年に東京オリンピック開催が決まってから急増した外国からの観光客をご案内するためにできた観光案内所。






「日本の道100選」に選ばれた中央通り、ここにも日本橋の案内。






橋を渡ります。すると一角に何か見えます。

◆ 元標(げんぴょう)の広場



「東京市道路元標」








江戸時代には五街道の起点でした。

   
 
 

(2)

十返舎一九の『東海道中膝栗毛』は歌舞伎化されて、度々舞台にかかってきました。


平成19(2007)年正月、国立劇場で三升屋二三治・中村重助・[5代目] 鶴屋南北の合作『梅初春五十三驛』(うめのはる ごじゅうさんつぎ)が、五幕十三場の通し狂言として上演されました(開場四十周年記念、第253回歌舞伎公演)。序幕・京都から東海道を上って、大詰が、大磯・品川を通って最後が江戸「日本橋の場」でした。


また歌舞伎舞踊『神楽諷雲井曲毬(かぐらうた くもいのきょくまり)』、通称「どんつく」は「日本橋の場」一幕です(『名作歌舞伎全集』第19巻、266頁)。 初演は弘化3(1846)年の江戸・市村座。


ちなみに新派に、泉鏡花の小説(大正3(1914)年)を劇化した『日本橋』があります。



2019年公演ちらし

   
読みいただきありがとうございました。

 「歌舞伎の舞台名所を歩くHOME
(2019年4月20日撮影)
 
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