歌舞伎の舞台名所を歩く

  六角堂
『桂川連理柵』


 (1)

菅専助作『桂川連理柵』、通称「桂川」「お半長右衛門」の「六角堂の場」、幕があくと、参詣の人たちで賑わっています。

参詣 コレ旅の方、見さっしゃれ。京の六角堂は何と賑やかなことであろうがなァ。

巡礼男 さようでござります。わしらが在所の片山里とはえらい違いでござりますなァ。

巡礼女 こういう花の都を見せて頂くのも、皆観音様やお大師様のおかげというもの、ありがたい事でござります。

旅僧 コリャこなたの言う通りじゃが、なんぼ仏のお誓いでも、ただ頼んでは願望はとげられまい。仏の御弟子の旅僧へ、一文はずまっしゃれ。

参詣 なるほど、これは恐れ入りましたなァ。……が然し、それではお前方の願望はとどいても、こっちのふところ勘定が不足じゃわい。

順男 金が敵(かたき)の世の中でござりますなァ。

旅僧 名僧智識へ報謝せぬとは、

順女 神も仏も金づくじゃわいなァ。

参詣 それでは志(こゝろざし)を置きますぞや。

順女 早う六角堂へお参りを、

参詣 さァさァ、早う行きましょ。、

旅僧 アゝ、縁なき衆生(しゅじょう)は度し難し。南無大師遍照金剛、南無大師遍照金剛。

 (『名作歌舞伎全集』第7巻、180頁)

そこへ長右衛門、才次郎、お絹、義兵衛、長吉たちが登場します。この場が伏線となって、次の「虎石町帯屋の場」とつながります。


(2)

「六角堂」の山号寺号は紫雲山頂法寺で、西国33所第18番札所。ご本尊は如意輪観音です。




六角堂へは市営地下鉄「烏丸御池」駅で下車、5番出口から歩いて5分ほどで着きます。



















境内にはいろいろ見どころがあります。


















こんな飴を売店で求めました。珍しいものと思いますので載せておきます。


スタンプ(何で一番知られるかが分かります)


 
(3)

『桂川連理柵』の初演は安永5(1776)年10月、大阪・北堀江座。

昭和44(1969)年5月、国立劇場では全9場の通し狂言として上演され(第24回歌舞伎公演)、帯屋長右衛門は2代目尾上松緑、信濃屋お半は2代目中村扇雀(現・坂田 藤十郎)が演じました(「六角堂の場」はこれ以後舞台にかかっていないようです)。


ちなみに「お半長右衛門」と云えば、上方落語の「胴乱(どうらん)の幸助」を思い出します。何人かが演じていますが、桂米朝さんのが一番でした。


   
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(2018(平成30)年11月21日)
 
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