歌舞伎の舞台名所を歩く |
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『仮名手本忠臣蔵』 五段目 | |
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『仮名手本忠臣蔵』五段目、「山崎街道鉄砲渡しの場」、百姓与市兵衛は家路を急ぐ途中、山崎街道にさしかかります。 |
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またも降り来る雨の足、人の足音とぼとぼと、道の闇路に迷わねど、子ゆえの闇に突く杖も、直ぐなる道の堅親仁。 |
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定九郎も与市兵衛も登場するのはこの場だけで、与市兵衛はあえなく殺されてしまいます。 守田勘弥の斧定九郎 (吉田千秋『写真忠臣蔵』(カラーブックス、保育社, 1983)69頁より) |
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与市兵衛のお墓があるというので行ってみます。 JR「長岡京」駅西口を出て、 西国街道を行きます。 駅から一度橋を渡って、20分ほどで着きます。手前にも標識があり、迷うことはありません。 この地は明智光秀の娘で後のガラシャ夫人に縁の地でもあることがわかります。 与市兵衛のお墓は、住宅の間にひっそりとたっています。 説明板には簡潔に記されています。 近づいてみてみます。下には生没年と、供養の文字でしょうか、刻まれています。 |
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『仮名手本忠臣蔵』五段目に登場する与市兵衛はお軽の父親で、七段目へ話の筋をつなぐ役割り以外取り立てて言うことはないと思いますが、この不幸な老人を供養しようと思い立ったのはどんな人達だったのでしょうか…。 定九郎のせりふは「五十両」のたったの一言ですが、名場面で、いつも定九郎を誰が演じるか楽しみにしてきました。真っ先に思い出すのは、大好きだった先代の尾上辰之助、市川海老蔵(後の12代目市川團十郎)です。 この場面は浮世絵にも描かれていますが、その内の一枚です。 |
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勝川春英「二世中村仲蔵」 〔描かれているのは斧定九郎を演じる仲蔵。「一文字屋から受け取った半金五十両を懐中する与市兵衛を殺害する場面。口を開け、今にも飛び掛かろうとする迫真のポーズは美しい映像のなかに歌舞伎の醍醐味を十分表出している。」〕 (『高橋誠一郎コレクション 浮世絵名作展』図録、1983) |
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ちなみに、落語の「中村仲蔵」という名作をお聞きになった方もいらっしゃることでしょう。 また戸板康二の短編に「夕立と浪人」(『江戸歌舞伎秘話』所収)があります。 どちらも定九郎の役作りを描いていて興味深いと思います。 |
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(2018(平成30)年7月13日) | |