歌舞伎の舞台名所を歩く〈寄り道〉

  丁子屋
(宇津ノ谷峠の近く)


河竹黙阿弥の名作『蔦紅葉宇都谷峠』(つたもみじうつのやとうげ)の舞台となる宇都谷峠の手前に、広重の浮世絵に描かれたとろろ汁で有名な丁子屋があります。


歌川広重「東海道五十三次 鞠子」 大判錦絵 天保3~4年
(「粋と艶、旅のあこがれ」展(四日市市立博物館、平成12年4月)図録56頁より)

浮世絵に描かれているお店でいまでも営業をしているのはここだけではないかも知れませんが、これほど有名な店はおそらく他にはないでしょう。
   


静岡駅北口を出て、7番のりばで「中部国道線」岡部経由藤枝駅行きのバスに乗ります。
 30分程で「丸子橋入口」、ここで降ります。





観光バスを含めて、駐車してある車の多さに驚きます。






ぐるっと回ったところが旧東街道で、丁子屋の入口はこちらです。













いつの頃のか、帳場の近くにあった昔の写真




店内に入ると、何とも風情のある昔の造りです。



帳場

右の奥の部屋へ案内されます。








広い部屋(テーブル数15)に通されると、「東海道五十三次」のシリーズが全部展示されています。外国からのご夫婦が、写真を撮りながらぐるっとまわっていました。ぼくも丸子の一枚を撮ります。





一番左奥の席を座ろうとすると、紋が入った布団がのっかっています。






蕎麦はなく、注文したのは「丸子」。入口には20分待ち、とありましたが、それほど待たずに来ます。お盆ごと置いていくかと思ったら、「こちらがとろろでございます」と一品一品言って置いてくれます(今は「~になります」という所が多い、というか、大抵どこでもそう言うのがふつうになってしまったようですが、この若い女性の日本語はとてもきれいに響きました)。

ご飯(麦飯)はお櫃(ひつ)に入っていて、薬味がついています。これをとろろに載せるのは初めてです。



大満足して席を立ちます。






帳場に行く途中の廊下から、旧街道と店の庭が見えます。




店内には、とろろ料理と東海道に関するもの等がいろいろと展示されています。







「信夫」とあるのは、もしかすると劇作家の宇野信夫が来店の折りのものかと思って聞いてみると、先代の当主の書とのこと。良い字です。

展示室


 十返舎一九?

この奥にも部屋があります。






厨房へ


厠(かわや)には思いやりと、面白い一枚が!

 


店を後にすると、満開の桜が見送ってくれました。




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ご覧いただきありがとうございました。

  「歌舞伎の舞台名所を歩くHOME
(2019年4月7日撮影)
 
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