歌舞伎の舞台名所を歩く

  平河天満宮
『勧善懲悪覗機関』


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河竹黙阿弥作『勧善懲悪覗機関』(かんぜんちょうあく のぞきがらくり )、通称『村井長庵』が、昭和54(1979)年 8月に国立劇場(小劇場)で上演されました(第99回歌舞伎公演)。

序幕第三場が「平河天神裏門前の場」、あらすじをプログラムから写します。長庵は赤羽根橋で、妹の連れ合いの重兵衛を殺して金品を奪い逃げてきます。
小やみなく降る雨に長庵は、ずぶぬれでここ平河天神までやってきた。もおうここまでくれば安心という気持ちか、ひと息入れてぬれた裾をしぼった、と、足もとでいきなり野良犬が吠え立てた。カッとなった長庵は、脇差を抜くが早いかその犬に切りつけた。と、その様子を蔭からみているものがあった。この平河天神に朝参りにきた貝坂の忠蔵〈段四郎〉だ。行き違った長庵は、しまった内心ドキリとし、小石をひろうと忠蔵の持っている提灯目がけて投げつけ、そのまま走り去った。そのうしろ姿をすかしみる忠蔵。あたりはようやく白みはじめていた。

『名作歌舞伎全集』第10巻、220頁参照。

『勧善懲悪覗機関』の初演は文久2(1862)年、江戸・森田座。黙阿弥が、名優・四世市川小団次のために書き下ろした作品で、大当たりをとったいいます。

赤羽橋」参照。

 
(2)

平河天神、今は平河天満宮、国立劇場への下車駅である東京メトロ半蔵門線「半蔵門」駅から数分の所にあります。



駅を出て、一本裏の通りに入って少し歩くと、すぐに見えてきます。


 鳥居右に
 本殿手前に
 撫で牛 力石 筆塚
   

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(2019年10月)

 
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