歌舞伎の舞台名所を歩く

 和歌の浦② 鹽竈(しおがま)神社
 (『卅三間堂棟由来』)
 
 
 (1)
 

『卅三間堂棟由来』(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)、通称「柳」の「木遣り音頭の場」は、
本舞台、和歌の浦を見たる遠見、街道筋。

はや東雲の街道筋、木やり囃子で地車の、とどとどろく音ぞ勇ましや。

和歌の浦には名所がござる、一に権現二に玉津島、三に下り松四に鹽竈よ、ヨイヨイヨイトナ。

(『名作歌舞伎全集』第4巻、212頁)
 
(2)

紀州東照宮から塩竃神社へはバスの便もあり、まっすぐの道を歩いてもそれほどかからずに行けそうですが、ここまで来たのですから、かなり遠回りになりますが、すぐ近くの和歌浦天満宮と和歌浦漁港も見てから行くことにします。

  

和歌浦天満宮も長い階段が見えます。もうかなり歩いてきたので、「また階段か!」と思ってしまいます。



この天満宮は北野天満宮と大宰府天満宮とともに「三管廟」の一つとのこと。



絵馬の図柄は勿論、学問の神様・菅原道真公。鈴なりにたくさんかかっています。



それほど遠くない位置に和歌浦湾が見えます。海が見える景色、大好きです。



ここから歩いて和歌浦漁港に出て、片男波海水浴場を通ります。さわやかな風が吹く中、きれいな海に心が洗われるように感じます。



適当なところで左に折れて進むと曙橋に出ます。橋を渡らずに手前を進みます。松の傾きは海風のせいでしょうか。



すると由緒ありそうな不老橋あり、水面に映っています。



近づくと、橋の向こうに鹽竈神社が見え、こちらも少し水面に映っています。



鹽竈神社、崖のような山に抱かれるように建っているのにはちょっとびっくりです。



近づいてみます。境内はごく限られたスペースのようです。



「御案内」です。

この神社、神話に登場する山幸彦は龍宮の豊玉姫と結婚し、姫は安産により御子を授かったことから、安産・子授けの神様として厚い信仰をあつめているそうです。 

 

 石の鳥居をくぐりますと、ふつうの神社とはかなり趣を異にします。



ともかく中に入ってみます。



「輿の窟(こしのいわや)」と呼ばれ、波によって浸食された洞窟とのこと。右手前は「和合の松」と呼ばれる巨木で外まで伸びています。



「万葉の時代から景勝地和歌の浦の入り江、不老橋の前に座し」とパンフレットにある鹽竈神社、たいへんに珍しい神社でありました。



お読みいただきありがとうございました。 
 
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(2018(平成30)年5月13日)
 
 
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