歌舞伎の舞台名所を歩く

  天下茶屋あだ討ち供養塔
敵討天下茶屋聚
 大阪市西成区


 (1)

奈河亀輔作『敵討天下茶屋聚』(かたきうち てんがぢゃやむら)の大喜利は「天下茶屋敵討本望の場」です。

源次 えゝ忝ない、これもひとえに住吉大明神の御導き。

早瀬伊織の妻染の井、源次郎、求女ら

東間 じゃらくせいうじ虫めら、敵呼ばわり片腹痛い。いかにも玄蕃を始め伊織めも、この東間がぶっ放した、うぬらもこゝで返り討ち、念仏唱えて、覚悟なせ。
(『名作歌舞伎全集』第13巻、232頁)


(2)

天下茶屋あだ討ち供養塔が天神の森天満宮の境内にあります。





地下鉄堺筋線「天下茶屋」駅で下車します。2・3度道を聞いて、15~20分ほど歩いたでしょうか、やっと天満宮に着きます。



天下茶屋あだ討ち供養塔は、鳥居をくぐると、すぐ右に建っています。








建立は文政11年、西暦では1828年です。





もう一つの鳥居をくぐって本殿に向かいます。








子安石






この日はちょうど「もえぎ祭」の当日で、お茶の接待があるとのことで、ぼくも「御茶券」(100円)を求めます。




準備が出来たようで、1時から接待が始まります。青空の下、新緑を見ながら緋毛氈の上に座って抹茶をいただく――なかなか良いものです。






ゆっくりとお茶を味わって、本殿近くの鳥居に向います。この世の恵について書かれた一文を読んで、




近くの「天下茶屋跡」に向かいます。


(3)

『敵討天下茶屋聚』の初演は天明元(1781)年、大阪角の芝居。

国立劇場では、『天下茶屋の敵討』(てんがぢゃやのかたきうち)の外題で、昭和42(1967)年6月に初演(第7回歌舞伎公演)されました。

配役は、東間三郎右衛門=13代目片岡 仁左衛門、早瀬伊織=14代目守田勘弥、伊織弟源次郎=5代目澤村訥升(後の9代目澤村 宗十郎)、安達元右衛門=17代目中村勘三郎。


国立劇場公演ポスター
(『歌舞伎ポスター集-国立劇場開場25周年記念』(日本芸術文化振興会, 1991年刊)より)

その後、『殿下茶屋聚』(てんがちゃやむら)の外題で、平成2(1990)年3月(第159回歌舞伎公演)
平成13(2001)年10月(第225回歌舞伎公演)に再演されています。


この芝居の序幕の舞台は「四天王寺」、3幕目は「福島天満宮」、こちらもどうぞご覧ください。



お読みいただきありがとうございました。

 「歌舞伎の舞台名所を歩く」 HOMEはこちらをどうぞ。 
(2019年5月12日撮影)
 
inserted by FC2 system