歌舞伎の舞台名所を歩く

  四天王寺
『敵討天下茶屋聚』『野晒梧助』
大阪市天王寺区


 (1)

『敵討天下茶屋聚』(かたきうち てんがぢゃやむら)、序幕は「天王寺の場」、主な登場人物が出揃います。

伊織 まことに仏法最初たる当山太子の開帳とて、老若男女群集(ぐんじゅ)なす、アゝ大阪は繁華な地じゃナア、まことに当地は繁華じゃア。

源次 なんと弥助、国とは違い、賑わしい諸人の入込(ご)み。まるで船着き場の賑わしさじゃな。

弥助 御意の通り、天王寺は仏法最初の霊地なれば、参詣人の櫛の歯を引くたとえをそのまゝ。まず旦那様には、あれにてお休みなされませぬか。

伊織 ウム、幸い向こうの茶屋にて……。

 ト鳴り物にて本舞台へ来て、床几に腰をかける。
 (『名作歌舞伎全集』第13巻、186頁)

天王寺は今では地名ですが、古くは四天王寺の略称でした。

『野晒悟助』の大詰は「四天王寺の場」、悟助が提婆(だいば)仁三郎と対決する立ち廻りを見せる歌舞伎美に溢れる一幕です。

(2)

「日本仏法最初官寺 和宗総本山」の四天王寺へは大阪メトロ谷町線「四天王寺前夕陽ケ丘」で下車して歩きます。



通りを行くと、左に鳥居が見えます。





境内の地図を見ます。全部回るとどのくらい時間がかかるのでしょうか…。



鳥居をくぐるとすぐにあるのが、





西大門の左には太子(だいし)堂があり、弘法大師の大きな像が建っています。



西大門




門の右には珍しものが見えます。





門を通ると、すぐ左には「義経よろい掛けの松」と石碑があります。




突き当りが内部伽藍の入口で、中に建つ五重の搭が見えます。




入場は4時半までで、門は半分閉まっています。残念! またの機会にして引き返します。



西大門の手前にある義経よろい掛けの松の右の木は枝垂れ桜でしょうか…



境内にずらりと露店が並んでいます。暑い日でしたので、かき氷を食べて帰路に着きます。



(3)
   
この芝居の3幕目の舞台「福島天満宮」、初演等の舞台については「天下茶屋あだ討ち供養塔」を、『野晒悟助』の初演等舞台については「住吉大社」をご覧ください。  


ちなみに落語に「天王寺参り」という噺があります。桂米朝『米朝ばなし』(講談社文庫, 1984)223頁)に詳しく書かれています。



お読みいただきありがとうございました。

 「歌舞伎の舞台名所を歩くHOME
(2019年5月12日撮影)
 
inserted by FC2 system